2022年09月05日

霊感商法について論じる前提としての唯物論

いわゆる「霊感商法」という言葉は、もともとは日本共産党の「赤旗」が作った造語で、朝日新聞社の「朝日ジャーナル」等がそれについて書き立ててきたものです。

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朝日ジャーナル編「追及ルポ・霊感商法」1987年7月20日、朝日新聞社発行)

いわゆる「霊感商法」について話をする場合、その前提として考えておくべきことは、それを批判する立場の人々の主張はおおむね日本共産党などの「唯物論」(この世は唯々、物質しか存在しないという「心ない理論」)のような考えに基づいている、ということです。

おおざっぱに言えば、世の中はただ物質のみで、ただモノとカネだけで動いている。労働こそが価値を生み出すのであって(労働価値説)、それ以外の芸術的価値などは認めない。絵画の価値なども、絵の具と画材の値段および画家の労働時間によって決まる、という感じの思想です(おおざっぱに書いています)。

ましてや、唯物論では霊的な価値だのスピリチュアルなもの、神秘的な美の価値などは評価されないのです。本当はその問題を抜きにして、いわゆる「霊感商法」を論じることは難しいのです。

霊感商法問題を長年追及してきたという弁護士の紀藤正樹氏は、2022年8月23日のツイッターで「ほんとうにあった怖い話(夏の特別編2022)」(8月20日フジテレビ放送)について、「この種の番組を放送するのは辞めてほしい。いまだに続いているのがわからない。霊感商法に利用されるだけです。テレビは事実に基づき報道すべき」と投稿した、とのことです。

「ほんとうにあった怖い話」という番組には下ヨシ子さんという宗教家・霊能者が出演してコメントをしていたため、紀藤氏によると「放送倫理に反する可能性がある」のだという。
下ヨシ子さんは霊感商法の裁判で敗訴したことがあるらしく、その件を問題視しているのかもしれません。

しかし、裁判というものは被告が敗訴しても被告の言うことの全てが事実でないと否定されるわけではなく、あくまでも提出された証拠に基づいて、裁判官が現行法の認める範囲において損害賠償の程度などを決めるものであって、被告が敗訴しても被告が個人的に信じる思想信条の内容までが侵害されたりはしないのです。

下ヨシ子さんは霊能者として講談社、学研、小学館、徳間書店などから著書を多数出しておられる方ですが、私も読んだことがあります。そして、決していたずらに虚偽を述べて騙しているという印象は受けませんでした。ちなみに、私は霊界があると思っていますし、いろいろな霊現象も起こりうると考えています。

霊感商法というものが、人を騙してお金を稼ぐような意味であるとすれば、それは法によって裁かれなければなりません。
しかし、物の価値というものは決してその制作にかかった労働時間で決まるものではありません。そういう杓子定規で測るような唯物論的な社会を目指すことこそ、恐ろしいのではないかと私は感じます。

丹波哲郎さん宜保愛子さんのように霊界の不思議な世界を説く人々、神秘的な占いを楽しむテレビ番組、人間が持つ霊能力や超能力の解明をめざす人々、本当にあった怖い話を特集する番組など、そういうスピリチュアルな内容について「そんな世界はありえない」と否定するのではなく、「科学では割り切れない世界もあるだろうな」という寛容な精神に満ちた社会こそ、ギスギスしない自由でおおらかな良い社会なのではないでしょうか。
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