2022年09月03日

日テレの「視聴率不正操作」体質は変わったのか?

2003年9月から10月にかけて、日本テレビのプロデューサーが不正に視聴率を操作した事件(日本テレビ視聴率買収事件)がありました。この体質、今も全く変わっていないように見えます。

日テレが不正操作をしたことが発覚した当時、氏家斉一郎会長萩原敏雄社長などが謝罪会見を開くなどしました。
しかし、今も不正操作があるかどうかはわかりませんが、「視聴率のためなら何でもやる」という視聴率至上主義の体質そのものは根本的には変わっていませんし、それどころかますます過激に視聴率を追いかけているようにも感じられます。

世界日報はサンデー版2003年12月7日号で、志賀信夫・放送批評懇談会理事長のインタビュー記事を掲載しています。

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「サンデー世界日報」2003年12月7日「放送批評懇談会・志賀信夫理事長に聞く」

志賀信夫氏は、視聴率が不正に操作される背景について次のように言われます。

「日本の視聴率調査は昭和36年に米国のニールセン社が始めた。その調査結果を最初に買ったのが日テレだ。TBSとフジテレビは電通を組んで翌37年にビデオリサーチ社を設立した。以後、2社が並行して視聴率調査を行ってきた。
当初、世帯を対象に調査していたが、やがてテレビが1人に1台の時代となり、個人を対象にするようになると、採算が合わずニールセンが撤退。ビデオリサーチ1社になったこともあり、ますます視聴率の数字がスポンサーの広告費に直結するようになった。(中略)
テレビの広告料は年間約2兆円で、広告主はCMを見る人の数を気にするので、視聴率が唯一の基準だ。」(同紙、1面)

テレビは広告料がなければ運営できませんが、広告料を出してくれる広告主から評価を受ける唯一の基準が視聴率という数字なので、テレビは視聴率に走るしかない、ということでしょう。

もちろん視聴率の他にも評価基準はあるようで、たとえば内容が優れた番組を表彰する「ギャラクシー大賞」のようなものもあるとのことですが、一般にはほとんど知られていません。

それで結局のところ、視聴者側がメディアリテラシーの水準を上げることが必要だと志賀氏は述べておられます。

「視聴者の水準を上げる、テレビリテラシー教育が必要で、これは国民の意識改革運動だ。(中略)
欧米では学校でメディアリテラシー教育があり、社会では宗教団体が厳しく監視している。日本でも宗教団体がもっとテレビに関心を持てば向上するのではないか。(同紙、2面)

志賀先生は宗教団体がテレビに関心を持って監視することにも期待しておられますので、それは大いに光栄なことです。
しかしながら、テレビ番組の中には有益で高品質な内容もあるとは思うのですが、日本の大多数のテレビ番組はあまりにも安っぽく低俗で見るに堪えないことが多いので、そもそも「関心を持つ」ということ自体が困難であるのが現実です。

しかも、今の日テレは宗教団体から監視されるどころか、宗教団体を徹底的にバッシングして視聴率を稼ぐネタにしてしまうという悲惨な状態なので、もしも志賀先生が生きておられたら実に情けない気持ちを表明されたことでしょう。
(なにしろ世界日報のインタビューを受けただけで、まるで犯罪者扱いですからね。笑)

ところで、一般にも(特に今後の日本を支える若い世代では)いわゆる「テレビ離れ」の現象が顕著で、テレビよりもスマホで常時ネットから新鮮な情報を得る生活スタイルの時代になっているため、よほど国民に有益なテレビ番組が登場しない限り、テレビに関心を寄せることもないでしょう。

ただ、単にテレビ番組の品質向上を待っていたら軽く1世紀以上かかると思うので、やはり国民全体の情報リテラシー、メディアリテラシーを高める教育や自己啓発が重要になるのだと思います。
posted by むちゅう(江本武忠) at 11:06| Comment(0) | TrackBack(0) | マスコミ・メディアの問題
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