2023年04月21日

下関は統一教会の聖地か?

(1)有田芳生氏、下関は統一教会の聖地」であると断言する

安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補欠選挙で、立憲民主党から立候補した有田芳生氏は、下関について「この下関って統一教会の聖地なんです。聖なる土地なんです。」と述べたという(Yahoo!ニュース2023/4/18)。立憲民主党自体もその見解に同意しているようです。

統一教会では、世界40か国に120か所の「聖地」が存在していて、各国で信者たちの祈祷の場所などになっています。
120か所のうち日本では1965年に8か所の聖地が決定されました(東京、名古屋、大阪、高松、広島、福岡、札幌、仙台)。
下関は統一教会の聖地には含まれていません。

ただ、統一教会創始者の文鮮明師(1920〜2012)が1941年に早稲田高等工学校(現早稲田大学理工学部)に留学した時、下関から日本に初入国したということから、下関が教会の歴史上貴重な場所であると考える信者が存在することは事実です。
しかし、あくまでも教会が聖地として定めた場所は8か所だけです。

文鮮明師が留学した当時は、韓国から関釡連絡船で日本に来るわけですから、誰でも下関で降りるしかないのです。だから、その場所が教会にとっては歴史的に特筆すべき場所といえるかもしれませんが、宗教的な「聖地」と呼ぶのはかなりの違和感を感じます。

実際、私は40年以上統一教会に在籍していますが(決して熱心な信者ではありませんが)、これまで下関を「聖地」だと考えたことは一度もありません。

(2)文鮮明師の後輩、ロッテ創業者・重光武雄会長も下関から入国

戦前、文鮮明と同様に日本に留学した韓国人として、ロッテ創業者の重光武雄会長(辛格浩氏、1922〜2020)がいます。
重光会長は1943年、文鮮明師と同じ早稲田高等工学校に入学しています。そして、やはり関釡連絡船で下関から入国しています。

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松崎隆司氏の『ロッテを創った男・重光武雄論』(ダイヤモンド社、2020年)には、当時の下関について次のように書かれています。

「下関港で重光を待っていたのは、思想犯を取り締まる特別高等警察(特高)だった。埠頭で呼び止められ、調べ室に連行され、荷物を全部出させた上で尋問が繰り返された。(中略)この後、頑強な刑事に別室に連行されて、ムチによる拷問を受け、数時間の取り調べの後、釈放されている。下関で同様の目にあった日本人も珍しくなかった。」(同書P.60-61)。

ここで少し早稲田高等工学校について補足します。
文鮮明師は電気工学科、重光武雄会長は応用化学科を卒業していますが、松崎氏の本には次のような説明があります。

「この学校は28年(昭和3)年に機械工学科、電気工学科、建築科、土木工学科などを持つ各種学校として設立され、重光が入学する頃には、夜間3年制の各種学校として、勤労青年を対象に工業技術を教育していた。
制度上は専門学校令に基づく高等工業学校ではなかったものの、それに準ずるカリキュラムと併設の早稲田大学理工学部と施設や教員を兼ねており、卒業者に免許を付与したり、資格試験の一部を免除したりすることもある程度まで認められていた。後年、重光の最終学歴が早稲田大学理工学部卒とされることもあるのは、こうした事情も背景にある。
ちなみに、重光が入学した年の秋に卒業した同国人に、統一教会創始者の文鮮明がいた。(同書P.68)

(3)印象操作、レッテル貼りの政治手法はどこまで通用するか

下関について、ことさらに「統一教会の聖地」であると強調する有田芳生氏、立憲民主党の意図はどこにあるのでしょうか。

いうまでもなく、安倍元首相を殺害した山上容疑者の要求に応じて、旧統一教会をバッシングする政策や法案を通す方向に政権やメディアが勢いよく進んだため、それと同様に反安倍・反統一教会という方針を持つ左派・野党がその勢いを最大限に利用していることは明らかでしょう。

つまり、特定の宗教色を持っているとは到底思えない地域である下関に「統一教会の聖地」という強烈なレッテルを貼ることによって世間の注目を集め、ここで安倍派の勢力を排除しなければますます統一教会の活動が拡大するぞ、という印象操作をやっているわけです。
しかし、現実には地元住民の強い反感を買っているだけのようにも見えますが。

立憲民主党は、国会で小西洋之議員杉尾秀哉議員が高市早苗大臣をはげしく追及した時も、実際は何の信用性もない単なる官僚のメモ書きを「超一級の極秘文書」などと偽って、高市大臣が悪者であるかのような印象操作・レッテル貼りに終始していました。

しかし幸いなことに、今はテレビや新聞の偏向報道を単純に信じる時代ではなくなり、インターネットから常に新鮮な情報を得る人々が多くなりました。
偏向したテレビしか見ない情報弱者を相手にすれば、ある程度は騙すことは可能でしょうが、さらに時代が進むにつれ情報操作やレッテル貼りという政治手法は通用しなくなってくると思われます。
posted by むちゅう(江本武忠) at 17:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 家庭連合・統一教会・統一運動