2022年08月28日

元TBS報道局長が、女性連合(WFWP)の月刊誌で暴露したテレビ番組制作の実態

大蔵雄之助氏は、TBSでモスクワ支局長や報道局長(解説室長兼任)を歴任され、その後東洋大学教授となられた報道のプロです。
著書も多いですが、英国王室物語(サイマル出版)や紳士道と武士道(麗澤大学出版会)などの翻訳もされた国際事情通ともいえます。

大蔵氏は、国連NGOである世界平和女性連合WFWP、統一教会創始者・文鮮明師により創設された)の機関紙「理想家庭」で、「テレビとのかしこい付きあい方」と題する論考を書いておられます。
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(女性連合=WFWP機関誌「理想家庭」1995年5月号、6-9頁)

同誌の中で大蔵氏は、テレビ局の組織上のあり方をめぐって、次のように言われます。
「一つの組織の中に高踏的な報道とその他の情報部門が同居している。ワイドショーの担当者は視聴率をよりどころに、汚れ役を引き受けている。芸能ニュース的なものを手がけないで能書きを言っているのは簡単なことだが、それは、戦争はないという前提で国防をまったく考慮しないのが真の平和に何ら貢献しないのと同じであろう。」(「理想家庭」1995年5月号、7頁)

ワイドショーについては、次のように指摘されます。
「土足で茶の間に踏み込んで行くような無礼な取材、聞かなくてもわかる状態の人に『今のお気持ちは?』とマイクを向ける無神経なインタビュアー、限度を知らぬプライバシー侵害、反対意見を求めずに一方的に糾弾するゲストとタレント、そして視聴率と時間の進行にしか関心のない司会者、針小棒大・羊頭狗肉のタイトルをつけて客をねらうディレクター・・・数え上げればきりがない。(中略)

テレビで心ない取り上げ方をされた人は一生その屈辱と恨みを忘れないだろうし、家族の苦痛ははかりしれないものと容易に想像される。けれども、第三者の目で客観的に観察すれば、どんなにひどい扱いのものでも、人の噂も75日どころか、次の事件が登場するまでの、せいぜい7・5日ぐらいの話題でしかない。(同誌、7-8頁)

日本のテレビが「品位」よりも「面白さ」を重視している点について・・・
わが国のテレビが誇るべき水準にないことは否定できない。(中略)ヨーロッパ諸国のテレビは主として国営であって、一定の品位を保っている。日本と同じく受信料制度のテレビと広告料収入に依存するテレビとが共存するイギリスでも、平均して番組の質は高い。だが、面白さという点ではとても日本の足下にも及ばない。(同誌、8頁)

そして大蔵氏は、テレビが持つ「印象操作」の危険性について次のように語っています。
「文明社会では長年、活字信仰というものがあった。それが昨今では映像信仰に転換している。(中略)
実際にはどの角度から撮影するかによって印象は逆転するし、それよりも前に、その事実を取材しなければ、それ自体が存在しないことになってしまう。一定のもとに構成された報告を、それに対応する映像を使わずに反証することは非常に困難である。

現在、NHKも民法もニュース部門の中核にいるのは全共闘世代であり、テレビは新聞よりも機能的に少数の集団の意志で方向を決定することが容易であるし、またそうしないと時間的に間に合わないことが多い。目は口ほどに物を言うから、キャスターの表情一つで全体の印象はがらりと変わり、さらに最後の一言のコメントが暗殺剣ともなる。」(同誌、9頁)

最後に、大蔵氏は視聴者に対して警告を発しておられます。
報道番組はまじめなものだという先入観が働くから、視聴者の批判精神の大部分が眠っている。そこにしたり顔の解説が流れ込むと、そのまま信じる気になる。(中略)
その罠に掛からないためには常に批判精神を目覚めさせておかなければならない。(同誌、9頁)

現在のテレビ局は、政府や国民への強い影響力を利用して、特定の宗教やそれに少しでも関連があると思われる団体を差別・糾弾し、ほんの少しでも関わった政治家を犯罪者のように扱うという、過激な人権侵害行為を行なっています。

しかし、大蔵氏の言われるとおり「報道番組はまじめだという先入観」もあって多くの視聴者(特にネット情報を得られない高齢層、情報弱者)はみな鵜呑みにする傾向があります。

ところで、大蔵氏は女性連合の機関紙だけでなく、統一教会の月刊誌「新天地」や統一教会系の新聞「世界日報」などで積極的に自説を展開されました。

おそらく、統一教会バッシングが盛んだった当時、バッシングしているテレビ局側のほうがよほど深刻な問題を抱えている、ということを大蔵氏は痛感しておられたため、統一教会側から情報発信をしなければ良心が許さなかったのではないかと私は思っています。

大蔵氏はTBS関係者の中では大先輩格といえますが、現在のTBSを見るかぎり、大蔵氏のような人権感覚や良識のある人は残念ながらただの一人も存在しません。

たとえ、大蔵氏のこのような論考を読んだとしても(文章の意味ぐらいはわかるかもしれませんが)、現実は今日もまた面白おかしい番組を作って視聴率を稼ぐことに専念する愚行を続けるのでしょうね。
日本のテレビ報道の現状は、国際基準から見てまことに恥ずかしい限りです。
posted by むちゅう(江本武忠) at 15:46| Comment(0) | TrackBack(0) | マスコミ・メディアの問題